ゲーミングPCで快適にオンラインのゲームを楽しむには、高速なネット回線だけでなく、高性能なルーターも必要になります。
しかし、ルーターのスペックも千差万別なので、何を基準に選べばいいか分からないという初心者も多いのも事実。
そこで今回の記事では、ゲーミングPCと合わせて使いたい、高性能なルーターの選び方を現役エンジニアがじっくり解説しています。記事の最後では厳選したおすすめのルーターも紹介しているので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
ルーターの役割

まずはルーターの役割について見ておきましょう。
ルーターは、簡単にいえば、PCやスマートフォンなどの通信端末をインターネット(ネット)に接続させる機器です。
主な役割は次のようなものです。
- 複数の端末でネットに接続できるようにする
- 無線 Wi-Fi を使えるようにする
- セキュリティ(ファイアウォール)で端末を守る
複数の端末でネットに接続できるようにする
実際はネット回線の終端装置(ONUやモデム)に端末を直接接続しても、ネットを使うことは可能ですが、通常1台のPCしか接続できません。
そこで、ルーターを使うことで、複数のPC・スマホでネットを使えるようになります。
無線 Wi-Fi を使えるようにする
Wi-Fiルーター(無線LANルーター)なら、ネット回線につなぐだけで家庭内でWi-Fiが使えるようになります。
ここ最近の光回線サービスでは、ONUにWi-Fiルーター機能をもたせているところもありますが、ほとんどの光回線は契約するだけではWi-Fiを使うことはできません。
Wi-Fi機能のあるルーターなら、PCの他にも、スマホ、タブレット、ゲーム機(PS5、Switch)、テレビ、プリンターなどを同時につなげることが可能になります。通信容量の決まっているスマホなら、Wi-Fiにつないで利用すれば月々の通信量をかなり節約できるので、Wi-Fiルーターは必須といってもいいくらいですね。
セキュリティ(ファイアウォール)で端末を守る
その他にも、ルーターにはセキュリティ機能があります。
セキュリティは、ファイアフォールとも呼ばれ、家の中にあるPCやスマホなどの端末を不正なアクセスから守ってくれます。最近のルーターならほとんど全てにセキュリティ機能が搭載されているので、選ぶときも安心です。
ルーターの選び方(基本の3項目!)
ここでは、ルーターの基本的な選び方について解説していきます。基本の3項目はどんなルーターにも共通なので、ゲーミングだけでなく普段使い向けでもOK!
3つの重要ポイントを一つずつ確認していきましょう。
通信規格(最高速度を左右する)
無線LAN(Wi-Fi)でネットに接続する場合は、規格によって最大通信速度が変わってきます。
通信規格は、無線LANルーターの商品説明に 「11ac」 や 「Wi-Fi6」 などの形で表記されています。
1Gbps以上の光回線を使っている場合、十分な速度を出すには11acや11ax(Wi-Fi 6)対応のルーターを選ぶのがおすすめです。
無線LAN規格 | 通信速度(最大) |
---|---|
(Wi-Fi 6)11ax | 9.6Gbps |
(Wi-Fi 5)11ac | 6.9Gbps |
(Wi-Fi 4)11n | 300Mbps |
11a | 54Mbps |
11g | 54Mbps |
11b | 11Mbps |
また、有線でネットを使う場合にも、ルーターのLANポート(ケーブルを刺す口の部分)の性能で通信速度も違います。
1Gbps(ギガ)対応の有線ポートが一般的です。もし10Gbpsの光回線なら1Gbpsでは不足するので、10Gbps対応ポートが付いているルーターを選びましょう。
アンテナのスペック(Wi-Fiの対応範囲)
出典: BUFFALO
ルーターによって、どのくらいの距離・広さに電波を飛ばせるかが変わってきます。
なぜかというと、ルーターに付いているアンテナの性能によって、電波の広がる範囲が違うからです。アンテナはそこから電波を飛ばすことで、端末にデータを運ぶ役割があります。
2階以上ある家屋や3LDK以上の広い家なら高性能なルーターが必要ですが、独身世帯のワンルームなら安価なルーターでも十分ということになります。
ルーターの最適な使用範囲は、各モデルの製品説明に書いてあるので参考にしてみてください。
接続可能な台数
出典: BUFFALO
ルーターごとにWi-Fiで接続可能な端末数(台数)が決められています。
無線だと複数のPCやスマホを同時に何台も繋げられますが、決められた台数に近づくと不安定になったり、速度の低下が激しくなったりします。Wi-Fiでネット接続する端末の数をあらかじめ数えておき、それに合わせて対応ルーターを選ぶとよいでしょう。入門タイプのルーターを購入しても、人数の多い家族ならある日突然繋がりにくくなる原因にも・・・。
また、有線でネットを使う場合でも、ルーターの有線LANポートには数に限りがあります。
多くのルーターには2~4くらいの有線ポートが付いているので、使用するPCなどの端末数に合わせてルーターを選ぶ必要があります。(ルーターのポートが足りなくなっても、スイッチングハブなどでポートを増やすことも一応可能です)
ゲーミングPCと相性の良いルーターのポイント
次にゲーミングPCと相性のいいルーターの選び方を押さえましょう!
ゲーミングPCで快適なゲームプレイをするには、安定して高速な通信ができるネット環境が必須です。そのためには、比較的高性能なルーターを選んだほうがいいのですが、闇雲に高価なゲーミングルーターを買う必要はありません。
押さえるべきポイントは次の3つです。
- 通信規格
- CPU性能
- ビームフォーミング機能
一つずつ解説していきますね。
通信規格(Wi-Fiの最高速度)
無線通信規格は、上でも既に説明したとおり、Wi-Fiで接続するときの規格です。規格によって最大通信速度が変わってくるので、十分に通信速度を出すためには気にしておく必要があります。
もしWi-Fi接続でネット接続しているPC・スマホで、安定して勝てる環境を作るなら、最低でも 11n (最大600Mbps) か 11ac(最大6.9Gbps)でつなげられるルーターを導入するのがオススメです。
CPU性能(速度の安定性)
ルーターの性能はアンテナだけで決まるわけではなく、ルーター内部のチップ(集積回路)の処理能力によっても変わります。
内部のチップのことをCPUと呼びますが、このCPUの性能が通信速度や通信の安定性に大きく関わっています。CPUの種類がデュアルコアやクアッドコアなどになると、同時に処理できる事が増えて、通信が混雑してきたときにも安定してデータのやり取りができるようになります。
ゲーミングPCと合わせるなら、製品説明をチェックしてCPU性能が高い(デュアルコア、クアッドコア)ルーターを選ぶとよいでしょう。
ビームフォーミング機能
ビームフォーミングとは、通信するときの電波を、使用するPCやスマホの方向に向けて強める機能のことで、少し離れた位置にある端末でも高速で安定した通信が可能になります。最近では家庭用のルーターにも導入され始めています。
まだ一部の高機能なルーターにしか搭載されていませんが、ビームフォーミングはゲーム中の通信速度がかなり安定する機能です。特にノートタイプのゲーミングPCと合わせるなら欲しい機能ですね。
有線と無線どっちが良いの?
少し脇道にそれますが、ルーターに接続するのに、有線LANと無線LANのどちらが良いのでしょうか?
結論としては、ゲーミングPC(デスクトップ・ノートどちらも)でゲームを安定してプレイしたい!勝ちたい!というのであれば、有線の方が圧倒的にオススメです。
なぜなら、無線LAN(Wi-Fi)の接続は、たとえ最新の通信規格を使っていたとしても、不安定性は避けられないからです。無線は電波で情報を飛ばしている以上、他の通信機器や家電はもちろん、ご近所の通信機器や、最悪の場合は天候や太陽の影響を受けやすいのです。ゲームの通信に太陽の活動が影響するって、結構びっくりしませんか?普段は安定してSNSや動画コンテンツは見れているけど、ゲームの大事な試合でpingが急に高くなる…それは無線LANのせいかもしれません。
その点、有線LANは、全くとは言えませんが、これらの影響はかなり少ないです。ゲームを安定してプレイするためにも、有線LANで接続するのが安心です。(配線は面倒ですが・・・)
有線LANの接続方法、LANケーブルの選び方などはこちらの記事でかなり詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてくださいね。
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ゲーミングPCと相性最高なルーター5選
ここまで解説したポイントを満たした、ゲーミングPCと相性が最高の高性能ルーターを厳選しました。
実際に選ぶときには、ここでオススメしているルーターから選んでもいいですし、気に入らなければ似ているスペックのルーターでもOKです。あくまで、大事なのは上記で紹介したとおり、通信規格、Wi-Fiの対応範囲、CPU性能など、というのを覚えておいてくださいね。
ここでは有線が中心の環境と、無線が中心の環境で、それぞれオススメの製品を分けて紹介しています。有線の方は全体的に安いですが、速度や安定性の面では十分な性能があります。
有線でプレイする人におすすめルーター
バッファロー WSR-3200AX4S/NBK
モデル名 | WSR-3200AX4S/NBK |
---|---|
無線通信規格 | 11ax/ac/n/a/g/b |
最高通信速度 | 2401 + 800 Mbps |
使用距離目安 | ~3階 / ~4LDK |
有線 | 1G ポート(最大1000Mbps)×3 |
大きさ | 380 x 160 x160 mm(幅×高さ×奥行) |
CPU | - |
11,780円~(税込)
バッファロー WSR-5400AX6S/NMB
モデル名 | WSR-5400AX6S/NMB |
---|---|
無線通信規格 | 11ax/ac/n/a/g/b |
最高通信速度 | 4803 + 1147 Mbps |
使用距離目安 | ~3階 / ~4LDK |
有線 | 1G ポート(最大1000Mbps)×3 |
大きさ | 59×177×175mm (幅×高さ×奥行) |
CPU | 1.5GHz, トリプルコアCPU |
16,280円~(税込)
TP-Link Archer AX20
モデル名 | Archer AX20 |
---|---|
無線通信規格 | 11ax/ac/n/a/g/b |
最高通信速度 | 1201 + 574 Mbps |
使用距離目安 | ~3階 / ~4LDK |
有線 | 1G ポート(最大1000Mbps)×4 |
大きさ | 260.2×135.0×38.6mm (幅×奥行×高さ) |
CPU | 1.5 GHz, クアッドコアCPU |
8,000円~(税込)
無線(Wi-Fi)でプレイする人におすすめルーター
バッファロー WXR-6000AX12S/N
モデル名 | WXR-6000AX12S/N |
---|---|
無線通信規格 | 11ax/ac/n/a/g/b |
最高通信速度 | 4803 + 1147 Mbps |
使用距離目安 | ~3階 / ~4LDK |
有線 | 10Gbps×1、1Gbps×3 |
大きさ | 300×195×75 mm (幅×高さ×奥行) |
CPU | 2.2GHz, クアッドコアCPU |
33,320円~(税込)
ASUS RT-AX82U (A)
モデル名 | WXR-6000AX12S/N |
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無線通信規格 | 11ax/ac/n/a/g/b |
最高通信速度 | 4803 + 1147 Mbps |
使用距離目安 | ~3階 / ~4LDK |
有線 | 1G ポート(最大1000Mbps)×4 |
大きさ | - |
CPU | 1.5GHz、トリプルコア |
20,800円~(税込)
TP-Link Archer AX73/A
モデル名 | TP-Link Archer AX73/A |
---|---|
無線通信規格 | 11ax/ac/n/a/g/b |
最高通信速度 | 4803 + 574 Mbps |
使用距離目安 | ~3階 / ~4LDK |
有線 | 1G ポート(最大1000Mbps)×4 |
大きさ | 272.5×147.2×49.2 (幅×奥行×高さ) |
CPU | 1.5 GHz トリプルコアCPU |
20,800円~(税込)
まとめ
今回はルーターについて基礎知識を紹介し、ゲーミングPCと相性が良く性能が高いルーターを見分ける方法を解説してきました。
ゲーミングPCでオンラインのゲームを快適にプレイするには安定した通信が必要ですが、古い通信規格や格安のルーターでは不安定だったり通信速度が出にくいといった問題が生じます。なので、ルーター選びはとても重要です。
ルーターを検討するときには、今回紹介した知識を思い出していただけるとお役に立つと思います。