この記事は元インフラエンジニアでBTOパソコンを10年以上使っている管理人がメモリについて解説します。
BTOでゲーミングPCを購入するにあたって、こんな悩みはないでしょうか?
![](https://gamingpc.one/wp-content/uploads/2020/03/icon_cat.jpg)
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以下ではまず結論から入っていますが、状況に応じて「どのくらいのメモリ」を選べばいいか解説しています。初心者〜中級者向けの解説記事になります。
ゲーミングPCでは16GB以上にしよう
メモリの容量(ギガと言われることも)として一般に流通しているのは4G、8G、16G、32Gの4種類です。
あとで解説するように、迷ったら16Gがおすすめとなります。
また録画やゲーム配信したり、動画編集をするなら16Gは最低ラインです。8Gだとソフトによっては作業領域が足らず作業効率が大幅に落ちることがあります。
重たいゲームをより快適にプレイをしたいなら32Gのメモリも選択肢に入ります。
また、4Kの動画編集やWSL・Dockerなどのコンテナ環境でプログラミングする開発者、深層学習のユーザなどは32G以上のメモリを推奨しています。
よくされる表現ですが、メモリはデータを一時的に配置して使う「作業台」です。
メモリ容量は作業台の広さに相当します。
作業台のスペースが不足すると必要なデータが置けなくなり、作業効率(演算性能)がかなり悪くなってしまいます。なので、クロックなどを気にするよりまず先にメモリの容量を十分に確保することが何より重要です。
ゲーム性能比較 8vs 16 vs 32 GB
8GBと16GBの差
8GBでも結構多くのゲームが正常動作します。
とはいえ、重たいゲームになってくるとどうしても動作はもさもさしてしまいます。
そもそもゲームの推奨スペックが16GB以上となっていることもありますね。FF15とか。
重量級のゲームだと、8GBメモリのBTOパソコンでストレス無くプレイするのは難しくなってきます。
なのでゲーミング目的では16GBのメモリを搭載しておくのがおすすめとなります。
16GBと32GBの差
実はメモリが16GBあればほとんどのゲームで問題なく高フレームレートが出るようになります。
32GBとの違いは「安定性」です。
安定性とは高い負荷のかかる場面でも安定したfpsで描画でき、CPU使用率も安定的に維持できる性能です。安定性が無いと、重い場面でカクついたり、最悪映像がコマ送りになったりします…。
16GBよりも32GBのメモリ搭載の方が多くの場合で安定性が向上します。
軽いゲームでは体感できないですが、重たいゲームを数多くプレイするゲーマーなら違いが分かってきます。
↓の動画では16GBと32GBの環境でゲームの安定性を比較しています。
注目すべきはフレーム時間の推移です(左上のグラフ変動が少ない=安定している)。
フレーム時間(フレームレートの逆数)は1フレームを描画するのに何秒かかったかという数値で、メモリやCPU・GPUの性能に大きく左右されます。
また16GB→32GBへ増量することで、AfterEffectsなどのレンダリングがかなり高速化される事例が紹介されています。
メモリは容量だけじゃない
下の知識はゲームパソコンとして購入するBTOパソコンだとあまり気にする必要はないかもしれない内容です。
とはいえ「PC4-23400ってなに?いろいろ数字があるけど、これでいいのか不安…」という人もいると思います。
そんな方のための基礎知識をご紹介します!
メモリの規格
いまは「DDR4(DDR4 SDRAM)」という規格が主流。
数年前まではDDR3が主流でした。
DDR3メモリは、DDR4を採用する現行のパソコンと互換性がありません。なので古いPCからメモリを拝借してくることはできません・・・。新しくぽちりましょう。
BTOパソコンでもDDR4メモリを採用していることがほとんどです。
DDR5メモリが登場するまでしばらくの間はここは変わらないため、特に気にする必要はないでしょう。
メモリクロック
今最も売れているメモリの規格は「DDR4-2666」。
「2666」の部分はメモリクロックというもので、メモリとCPU間で2666MHzの速度でデータ通信できることを表しています。
数字が大きくなれば大きいほど、高速なデータ転送ができるので、性能が高いことを示しています。
メモリクロックと転送速度の関係
メモリクロック | モジュール規格 | 転送速度 |
DDR4-2133 | PC4-17000 | 17.0GB/s |
DDR4-2400 | PC4-19200 | 19.2GB/s |
DDR4-2666 | PC4-21300 | 21.3GB/s |
DDR4-2933 | PC4-23400 | 23.4GB/s |
DDR4-3200 | PC4-25600 | 25.6GB/s |
とはいえ、クロックが大きいほどマザーボードやCPUの性能でも高いものが要求されます。
そこで、CPUなどのパーツではあらかじめクロックの上限が決められています。
なので、単純に高いクロックのメモリを選べばPC性能が上がるわけではない、ということになります。
ちなみに、メモリの規格名が別の表記で販売されていることもあります。
メモリクロックが表記されたものではなく、「PC4」から始まる「モジュール規格」です。
こちらは前半がDDRメモリの規格(PC4ならDDR4)、後半の数値はメモリ帯域幅を表しています。
メモリ帯域幅もデータ転送速度を表していますが、こちらはMB/s単位になります。
メモリ帯域幅とメモリクロックは対応しており、一般にBTOに使われることの多いUDIMMメモリなら、メモリクロックを約8倍すればメモリ帯域幅に近い数字になります(上記の表参照)
たとえば、PC4-23400ならDDR4-2933と同じ規格ですが、メモリクロックからメモリ帯域幅への変換は以下のような式になります。
2933 × 8 = 23464 ≒ 23400
とはいえ、BTOパソコンの場合、メモリクロック規格もあまり気にすることはないと思います。
なぜならほとんどの場合、カスタム選択することはできないからです…。
メモリの増設は自分でもできる
メモリの増設は実は比較的カンタンにできてしまいます。
ほとんどのマザーボードでは単にメモリを差し込むだけで増設が完了するようになっています。
静電気による故障や押し込み不足による接触不良に気をつけてれば、問題なく増設した状態で起動できると思います。
「比較的」と書いたのは、メーカー間・マザーボード間との相性問題があるから。
相性の悪いメモリを使用するとPC自体が起動しない場合がある相性問題ですが、どこが問題なのか特定できない初心者だとこれに対処するのが難しいのが実態です…。
それゆえ、BTOで注文したゲーミングPCでは、オプションで追加したメモリ以外に自分で増設したメモリを増設した場合にはサポート対象外としていることも。自分で増設する場合には注意が必要です。
最初にBTOで注文する投資額は抑えて、あとからメモリを増設するというのも一つの選択肢であることは覚えておきましょう。
まとめ
ゲームパソコンをBTOで検討中なら、メモリは16GB以上がおすすめであるということを解説してきました。またその他の用途、例えば動画編集やプログラミングなど、メモリの消費が激しいソフトを動かす人は32GB以上のメモリ容量も選択肢に入ってきます。
BTOパソコンでメモリをカスタマイズするときは、以上をふまえて用途と予算に合わせた選択をするとよいでしょう。