最近「クリエイターPC」と呼ばれる、クリエイティブな作業に特化したモデルのPCが増えてきました。
「ゲーミングPC」は、普通のビジネス用パソコンよりもグラフィックス性能が高かったり、全般的なスペックが高いPCです。
結論から言うと、大多数のクリエイターさんはゲーミングPCでも十分なことがほとんどです。わざわざクリエイター向けのPCブランドを選ばなくても、ゲーミングPCはイラスト制作や動画編集といったクリエイティブな作業で十分なスペックを持っています!
今回はクリエイターPCとはどんなものか、そしてクリエイターPCやゲーミングPCのオススメの選び方について、現役エンジニアで普段から動画編集やWeb制作をしている私がじっくり解説しています!ぜひ参考にしてみてくださいね。
クリエイターPCとは
クリエイターPCはBTOメーカーがクリエイター向けのパソコンとして販売しているブランドPCです。
ここでいう「クリエイター」は、映像・写真・イラスト・DTP・3DCG・VR・音楽などのクリエイティブ分野のプロフェッショナルです。
こうしたクリエイターの作業では、一般的なパソコンよりも高スペックの処理性能やデータ保存スペース、堅牢性・信頼性(パソコンが急に停止せずに動き続けること)が求められます。
そうした作業でも安心して使えるよう、十分な処理性能や冷却性能、長期的に安定して使えるといった付加価値があるのがクリエイターPC(クリエイター向けパソコン)なのです。
ゲーミングPCとの違い
GPUが違う(場合がある)
GPUは画面の描画処理を行う、とても重要な部品です。
ゲーミングPC、クリエイターPCのほぼ全てには性能の高いGPUが搭載されています。
ただし、クリエイターPCでは搭載されているGPUの種類が違うことがあります。
ほぼ全てのゲーミングPCには「GeForce」というGPUが搭載されています。
一方でクリエイターPCには「Quadro」が搭載されていることがあります。(全部がQuadroというわけじゃない)
ゲーム用途にはGeForce一択なのですが、クリエイター向けの特定のソフトウェアなどでQuadroの方が高速に動作するような場合やQuadroじゃないと動かない場合があります。
そういった現場ではQuadroを選ぶほかないですね。
QuadroにすべきかGeForceにすべきかは使用するソフトの仕様によって異なります。
例えば、APIにOpenGLを使っている3DCG制作ソフトやCADはQuadroが適していることが多いですね。
また、写真編集など広い階調表現が求められる現場では、10bitカラーが表現できるQuadroを採用すべき場合もあるでしょう。
まずはソフトの必須スペック・推奨スペック欄をチェックしてみましょう!
表. QuadroとGeForceの特徴比較
Quadro | GeForce | |
推奨API | OpenGL | DirectX |
色表現 | 10bit | 8bit |
価格帯 | とても高価 | リーズナブル〜高価 |
用途 | プロ仕様のソフトに最適化 | 個人〜業務まで幅広く対応可 |
搭載 | クリエイターPC | ゲーミングPC |
メモリの搭載量
クリエイターPCとして販売されているモデルはメモリ搭載量が比較的多めです。動画編集をはじめとして、3DCGやCADのレンダリングにはとてつもない量のメモリを消費するからです。
ちなみに、ゲームでもメモリを多く積んでいた方が快適に動作する場合があるため、ゲーミングPCもメモリ量は多めが推奨されています。
用途や価格帯によって変わってきますが、ゲーミングPCとクリエイターPCの搭載容量は以下のようなイメージ。
ゲーミングPC → 8GB〜32GB
クリエイターPC → 16GB〜128GB(幅が広い…!)
実用的な目安はこのようになります。
用途 | メモリ容量 |
---|---|
Photoshop や Illustratorなどのイラスト制作・画像編集・写真加工など | 8~16GB |
Premiere Pro やAfter Effect などの動画編集、RAW現像 | 最低でも16GB |
重たい3D処理が入るクリエイティブ用途 | 最低でも32GB |
CPUの選択
CPUはPCのあらゆる処理を実行・命令する、中心となるパーツです。CPUのスペックがPC全体のスペックを左右すると考えてもらってOKです。
CPUの選択肢は基本的にゲーミングPCと変わりません。
CPUのメーカーには Intel と AMD の2社があり、この中から選ぶことになります。
人気のある Intel Core ファミリーのモデルも多いですが、コストパフォーマンスが比較的優れているAMD Ryzen シリーズが採用されているモデルも多いです。とはいえ最近では Intel Core も AMD Ryzenも、どちらもマルチスレッド性能が肩を並べるようになっているので、迷ってしまうことも多いでしょう。
IntelシリーズとRyzenの違いは下記の記事で詳しく解説していますが、クリエイティブ用途ではどちらを選んでも問題ないことがほとんど。ゲーミング性能ではあくまで Intel Core の優位性が目立ちますが、クリエイター向けではRyzenの方がコスパで上回ることが多いです。最終的には価格で決着させてしまうことも考えられます。
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PCケース
画像:マウスコンピューター
クリエイターPCはどれもこれもケースがかっこいいです。
ゲーミングPCの方は男らしい無骨なデザインだったり、LEDが鮮やかに光る内部イルミネーションが特徴的ですね。反対に、クリエイターPCは重厚感ある落ち着いたデザインのモデルが多く販売されています。インスピレーションが重要なインテリアにはぴったりです。
私のデスクでも活躍してくれているマウスコンピュータのDAIVも洗練されたデザインで、いつ見ても最高ですね。
クリエイターPCが向いている仕事
上で説明したように、GPUにQuadroが搭載されているクリエイターPCだと、特定の作業が効率化される場合があります。
具体的には OpenGLを多用する3DCGクリエーションの現場作業や、CADを使う医療・建築関係のクリエイター。こうした作業を行う予定があれば、Quadro搭載モデルを選択するほかないでしょう。
一方で、その他のイラスト制作、Web制作、動画や画像の編集、音楽関係といった仕事では、GeForce搭載のゲーミングPCの方がコストパフォーマンスが優れている場合が多いです。
それゆえに、クリエイターPCが最適となる仕事の範囲は意外と狭いと考えてもらってOKです。ほとんどの場合はゲーミングPCでも十分仕事になるということですね。